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法定相続情報制度とは?仕組み・手続き・利用するメリットをわかりやすく解説

2025.11.11

相続手続きを進めるうえで、法務局で利用できる「法定相続情報制度」は、戸籍一式から必要な情報を取りまとめて証明してくれる、とても便利な仕組みです。
この記事では、法定相続情報制度の仕組み・手続きの流れ・利用するメリット、法定相続情報一覧図の作成方法をわかりやすく解説します。
読了後には、どんな書類をそろえ、どのように申請し、どのように法定相続情報一覧図を作成すればよいのかが明確になり、相続手続きを効率的かつ確実に進められるようになります。

目次
  1. 🏛️法定相続情報制度とは?相続手続きを簡単にする新しい仕組み
    1. 相続手続きで必要になる「戸籍一式」とは
    2. 手続きの負担を解消するために生まれた制度
    3. 相続人と手続き先の両方にメリットがある
    4. 法定相続情報一覧図が使える主な手続き
  2. 📋法定相続情報一覧図を作るための流れ
    1. 必要書類(戸籍・申出書・身分証明書など)
    2. どこの法務局に申出するか
    3. 交付までの期間と追加交付の方法
  3. ✍️法定相続情報一覧図の作成
    1. 法定相続情報一覧図の基本的な書き方
  4. ⚠️法定相続情報制度その他の留意点
    1. 相続放棄をした場合
    2. 廃除があった場合
    3. 郵送による申出と交付
    4. 提出した戸籍の返却
このページのポイント

  1. 相続手続きの負担を軽減するために、平成29年(2017年)に法定相続情報制度が創設された。
  2. 戸籍一式をもとに作成した「法定相続情報一覧図」を法務局が確認・認証し、公的証明書として無料交付してくれる。
  3. 法定相続情報一覧図の写しは、銀行・証券・不動産登記などの相続手続きで戸籍一式の代わりとして利用可能。
  4. 法定相続情報一覧図の作成方法
  5. 申出は被相続人や相続人の所在地を管轄する法務局で行い、郵送申請も可能。

🏛️法定相続情報制度とは?相続手続きを簡単にする新しい仕組み

相続手続きで必要になる「戸籍一式」とは

相続手続きの第一歩は、被相続人(亡くなった方)の「出生から死亡まで」の戸籍をすべて集めることです。転籍や婚姻などを繰り返している場合、戸籍の数は膨大になり、時には20通を超えることも珍しくありません。さらに大変なのが、その分厚い戸籍の束を、銀行・証券会社・法務局などの窓口へ行くたびに提出しなければならない点です。これは、相続人にとって、非常に大きな負担となっていました。

また、手続きを受け付ける側の機関でも、提出された戸籍を一通ずつ確認して相続関係を読み取る必要があり、事務処理に時間がかかるという問題がありました。

手続きの負担を解消するために生まれた制度

このような不便をなくすために、平成29年(2017年)に始まったのが「法定相続情報制度」です。

この制度では、具体的には集めた戸籍をもとに「法定相続情報一覧図」を作成し、法務局に提出して内容の確認を受けます。その後、登記官が「相続関係を証明する公的な書類」として認証した「法定相続情報一覧図の写し」を無料で交付してくれる仕組みです。

この法定相続情報一覧図は戸籍一式の代わりとして利用可能です。法務局による確認済み書類であるため信頼性が高く、金融機関などの各窓口でもスムーズに手続きを進めることができます。

相続人と手続き先の両方にメリットがある

法定相続情報制度を利用すると、相続人は戸籍の束を何度も提出する手間が省けます。法定相続情報一覧図の写しは無料で複数枚交付してもらえるため、複数の金融機関や不動産などの手続きを同時に進めることも可能です。

一方で、銀行や法務局などの手続きを受ける側にとってお、法定相続情報一覧図を見れば誰が相続人かが一目で分かるため、確認作業の負担が減り、処理のスピードと正確さが向上します。

法定相続情報一覧図が使える主な手続き

法定相続情報一覧図の写しは、次のような手続きで利用できます。
・銀行や信用金庫などの預貯金の解約
・不動産の名義変更(相続登記)
・証券会社や保険会社での名義変更・解約
・年金や行政手続きでの相続関係の証明

戸籍の束をそのまま使う場合、銀行Aに提出して、返却されるのを待ってから銀行Bへ…といったように、一つずつ順番に進めなければなりません。これでは時間がかかってしまっても仕方ないですよね。しかし、この制度を使えば「法定相続情報一覧図の写し」を必要な枚数分もらえます。つまり、複数の金融機関や役所で同時に手続きを進めることができるのです。もちろん、最初に法定相続情報一覧図を作る手間はかかります。ですが、目安として「手続き先が3か所以上(例:銀行2行の解約+自宅の名義変更など)」ある場合は、その後の手続きが圧倒的に楽になるため、十分に利用する価値があると考えています。

📋法定相続情報一覧図を作るための流れ

法定相続情報一覧図を作る手続きは、①必要書類の収集②戸籍を読み込み相続関係の把握③一覧図の作成④法務局へ申出の順に行います。そして法務局の審査が終わると「法定相続情報一覧図の写し」を無料で交付してもらえます。

必要書類(戸籍・申出書・身分証明書など)

まずは次の書類を準備します。

被相続人(亡くなった方)の戸籍一式

出生から死亡まで連続するすべての戸籍

被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)

亡くなった方の最後の住所地を確認するために必要です。

相続人全員の現在戸籍

相続人が誰かを確認するために必要です。(生存の確認)

一覧図(相続関係を一覧に表した図)

被相続人と相続人との関係を、家系図のようにまとめたものです。この一覧図は申出人が自分で作成する必要があります。

申出書

法務局に「法定相続情報一覧図を交付してください」と申し出るための書類。法務局のホームページから入手できます。

申出人の本人確認書類

運転免許証(表裏)、マイナンバーカード(表のみ)などの公的証明書のコピーを添付します。

その他、必要になる場合がある書類

相続人の住所を「法定相続情報一覧図」に記載したい場合には、住民票の写し添付します。住所の記載は任意であり、必要ない場合は不要です。

これらをまとめて法務局に提出します。

どこの法務局に申出するか

法定相続情報一覧図の申出は、次のいずれかを管轄する法務局登記所で行います。
・被相続人の最後の住所地を管轄する法務局
・被相続人の本籍地を管轄する法務局
・申出人(相続人)の住所地を管轄する法務局

つまり、「被相続人か相続人の所在地」に関係する法務局ならどこでも申請できます。郵送による申出も可能なので、遠方に住んでいる場合でも問題ありません。申請先の法務局は、法務局の公式サイト内「管轄一覧」ページで確認できます。

交付までの期間と追加交付の方法

申出書と戸籍一式を提出すると、法務局で内容の確認が行われます。通常は申出から1~2週間程度で「法定相続情報一覧図の写し」が交付されます。また、後から追加で必要になった場合も、一度登録した内容をもとに追加交付(再交付)の申請ができます。この場合も手数料はかかりません。

✍️法定相続情報一覧図の作成

法定相続情報一覧図の基本的な書き方

一覧図は、被相続人と相続人との関係を、戸籍の内容にもとづいて正確に記載します。たとえば、配偶者・子・兄弟姉妹など、相続人となる方を線でつなぎ、「誰がどの立場で相続人になるのか」がひと目でわかるように整理します。その他記載するルールが決まっています。

一般的な記載例

①“被相続人” 被相続人の名前 “法定相続情報”
②“最後の本籍”
“最後の住所”(任意)
③“被相続人”、氏名、“出生”、“死亡”
④相続人の続柄、氏名、“出生”(他の相続人についても同様)
⑤“住所”(任意)
⑥“(申出人)”(申出人となる相続人)
⑦作成日、作成者の住所、氏名
⑧“以下余白”(余白がある場合)

※画像クリックで拡大

作成時のポイント:目的に合わせて「記載内容」を調整しよう

法定相続情報一覧図は、何に使うかによって記載すべき情報が変わります。「せっかく作ったのに使えなかった!」とならないよう、作成前に以下の2点をチェックしておきましょう。

1. 不動産の名義変更(相続登記)に使う場合

不動産を相続する人(新しい名義人)については、法定相続情報一覧図に「住所」を記載しておくと便利です。
こうすることで、この法定相続情報一覧図が「住民票の代わり」としても使えるようになり、登記の際に別途住民票を提出する手間を省略できます。(※住所を載せるためには、申出時にその人の住民票の添付が必要です)。
なお、不動産をもらわない他の相続人については、住所を載せる必要はありません。

2. 相続税の申告に使う場合

税務署に提出する場合、税金の計算(基礎控除額など)に関わるため、「実子扱いとなる子(実子・特別養子)」と「普通養子」を明確に区別する必要があります。
そのため、法定相続情報一覧図の「続柄」欄には、「子」という言葉で統一せず、戸籍に書いてある通りに記載(長男、二男、養子 など)しましょう。

戸籍通りに書く(長男、二男、養子 など)

⇒ 〇 OKです。
これなら「誰が実子扱いで、誰が養子か」が明確に分かるので、相続税の申告にも問題なく使えます。

全員「子」と書く

⇒ × 注意!
これだと実子と養子の区別がつかないため、税務申告には使用できません。

このように、提出先によって必要な情報が異なります。あらかじめ「どの手続きに使うか」を確認してから作成することが大切です。

死亡してる人は記載しない

被相続人と現在相続人となっている人だけを記載します。
すでに死亡していて相続人ではない人は、一覧図には含めません。

たとえば、被相続人の配偶者と長男がすでに亡くなっており、相続人が長女ひとりだけの場合には、
被相続人と長女の2人を線で結ぶだけになります。

※画像クリックで拡大

 

代襲相続の場合

代襲相続が発生している場合には、死亡して相続権を子や孫に引き継がせた人(被代襲者)と、
代わりに相続人となった人(代襲者)を区別して記載します。

代襲相続(だいしゅうそうぞく)

本来相続人となるべき子が被相続人より先に死亡していた場合に、その子(孫)が代わりに相続人となる制度です。また、相続人となるはずの兄弟姉妹が先に死亡していた場合も代襲相続が適用され、その子(甥・姪)が相続人となります。

すでに死亡して代襲の原因となった人(被代襲者)については、死亡日と「被代襲者」と記載します。
代襲によって相続人となった人(代襲者)については、続柄・氏名・生年月日のほか、「代襲者」と記載します。

たとえば、被相続人の子がすでに亡くなっており、その子(孫)が相続人となる場合には、
一覧図では、
⑨被相続人の亡くなった子について死亡日と「被代襲者」を記載し、
⑩孫については続柄・氏名・生年月日と「代襲者」を記載します。
※このときの「続柄」は被相続人との関係(=孫)を示すものであり、戸籍に記載されている続柄とは異なります。

※画像クリックで拡大

兄弟姉妹が相続人の場合

兄弟姉妹が相続人の場合
被相続人に直系卑属(子や孫)や直系尊属(父母など)がいない場合には、
兄弟姉妹が配偶者とともに相続人となります。

直系卑属(ちょっけいひぞく)

直系卑属とは、本人から見て血縁が直線的につながる下の世代の親族を指し、子や孫、ひ孫などが該当します。養子も直系卑属に含まれます。

直系尊属(ちょっけいそんぞく)

直系尊属とは、本人から見て血縁が直線的につながる上の世代の親族を指し、父母(親)や祖父母、曽祖父母などが該当します。養子縁組をしている場合、養父母も直系尊属に含まれます。

この場合、一覧図には被相続人の父母の氏名を記載せず、「父」「母」とだけ記載します。
つまり、父母の個人情報(氏名・生年月日など)は書かず、親子関係を示す線でつなぐだけにします。

たとえば、相続人が配偶者と被相続人の弟の場合には、一覧図では次のように記載します。
⑪「父」「母」と記載し、被相続人と線で結ぶ。
⑫弟については、続柄・氏名・生年月日を記載する。

※画像クリックで拡大

 

⚠️法定相続情報制度その他の留意点

相続放棄をした場合

相続放棄をしても、その事実は戸籍には記載されません。したがって、法定相続情報一覧図の中でも「放棄した」と明記することはできません。相続放棄をした人も、被相続人の死亡時点では「相続人」になるため、一覧図には相続人として記載する必要があります。

廃除があった場合

相続人の廃除(はいじょ)とは、家庭裁判所の審判を経て、特定の相続人の相続権を失わせる制度です(民法892条)。
被相続人が生前に申し立てる場合と、遺言により委任を受けた遺言執行者が、被相続人の死亡後に申し立てる場合とがあります。

廃除が確定すると、その旨が戸籍に記録され、当該者は相続人ではなくなります。そのため、法定相続情報一覧図には、廃除された人を記載する必要はありません。

廃除(はいじょ)

被相続人に対して虐待・重大な侮辱・著しい非行があった相続人について、被相続人の意思によってその相続権を失わせる制度です。生前に家庭裁判所へ請求して行うか、遺言によって指定し、遺言による場合には家庭裁判所の審判を経て効力が生じます。

郵送による申出と交付

法定相続情報一覧図の申出や写しの交付は、郵送によって行うことができます。

郵送で申出を行う場合は、必要書類一式を管轄の法務局宛に送付します。
また、写しの交付を郵送で受け取りたい場合は、返信用封筒と郵便切手(またはレターパック)を必ず同封するようにしましょう。

提出した戸籍の返却

法定相続情報一覧図の申出にあたって提出した戸籍(除籍・改製原戸籍など)は、
法務局で内容を確認したあと返却されます。

このページのポイント

  1. 相続手続きの負担を軽減するために、平成29年(2017年)に法定相続情報制度が創設された。
  2. 戸籍一式をもとに作成した「法定相続情報一覧図」を法務局が確認・認証し、公的証明書として無料交付してくれる。
  3. 法定相続情報一覧図の写しは、銀行・証券・不動産登記などの相続手続きで戸籍一式の代わりとして利用可能。
  4. 法定相続情報一覧図の作成方法
  5. 申出は被相続人や相続人の所在地を管轄する法務局で行い、郵送申請も可能。

新井 秀之

行政書士/認定経営革新等支援機関/東京出入国在留管理局申請取次者/神奈川県行政書士会横浜中央支部相談員/コスモス成年後見サポートセンター相談委員

行政書士新井秀之
対応エリア:
神奈川県横浜市
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相続/遺言/遺言執行/成年後見/終活
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はじめまして。行政書士の新井秀之です。
1965年に横浜市神奈川区で生まれ、東芝、リクルートでの企業勤務を経て、行政書士として独立いたしました。以来、「人生の最終章を支える」という使命を胸に、相続、遺言、成年後見、そして死後の諸手続きといった業務を中心に、数多くのご相談と向き合ってまいりました。...続きを読む
免責事項:
この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な手続きや判断については、必ず専門家にご相談ください。法改正や自治体の運用により情報が異なる場合がありますのでご注意ください。
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