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寄与分とは|「私だけが親を支えてきた」その努力は報われる?

2025.07.03

 
長年の介護や事業の手伝い、自費での修繕など、特別な貢献があった人の取り分を増やして公平を図る考え方が寄与分(きよぶん)です。本記事では、寄与分の基本と、話し合いが難航しやすい理由(何が貢献か・金額の算定・証拠の集め方)をやさしく整理します。あわせて、相続人でない人を救済する特別寄与料(民法1050条)、実務の進め方と予防策を紹介します。読み終えると、ご自身の事案で主張すべきか、どんな資料を準備し、どの順序で協議を進めるかが分かります。

目次
  1. ❓きょうだいは同じ相続分でいいのか?という疑問
  2. ⚖️寄与分とは? 特別な貢献を評価する制度
    1. 寄与分が認められる典型的なケース
  3. ⚠️寄与分をめぐる遺産分割協議はなぜ難航するのか?
    1. ① 主張が感情的になりやすいこと
    2. ② 寄与の有無・程度・金額の評価が難しいこと
    3. ③ 客観的な証拠が乏しいこと
  4. 🤝相続人でない人が支えた場合は? ─ 特別寄与料制度
    1. 特別寄与料が認められる要件
  • 💡コラム:相続は制度や法律だけでなく、人と人との関係性や思いやりが大きく影響する
  • 💡コラム:寄与分と特別寄与料の期間制限の違いについて
このページのポイント

  1. 寄与分(きよぶん)とは、相続人の中で特に被相続人に貢献した人が、その貢献を考慮して相続分を増やせる制度です。
  2. 相続では、寄与分を主張する相続人が現れると、協議が難航することが少なくありません。
  3. 特別寄与料とは、相続人でない親族が被相続人を介護・看護などで特別に貢献した場合、金銭で評価される制度です。

❓きょうだいは同じ相続分でいいのか?という疑問

「親の介護をしてきたのは私だけなのに、他のきょうだいと相続分が同じなんて納得できない」 「親の家業を無給で何年も手伝ってきたのに、財産を分けるときに考慮されないのは不公平では?」 こうした疑問や不満は、相続の現場で頻繁に起こります。

家族の中で一人だけが大きな負担を背負ってきたにもかかわらず、相続となると「法定相続分だから」と一律に分けられてしまう。そんな特別な貢献があった人の取り分を増やして公平を図るのが、「寄与分(きよぶん)」という制度です。

⚖️寄与分とは? 特別な貢献を評価する制度

寄与分(きよぶん)は、被相続人(亡くなった人)の介護や家業への従事、資金提供・財産管理などにより被相続人の財産の維持または増加に特別の貢献をした相続人を、その貢献分だけ取り分で評価する制度です。法定相続分の平等を原則としつつ、生前の特別な貢献があった相続人に寄与分を認めて、具体的相続分を調整し、実質的公平を図ります。

法定相続分(ほうていそうぞくぶん)

民法で定められた相続人ごとの遺産の取り分の割合です。遺言がない場合に適用され、配偶者や子、親、兄弟姉妹などの関係に応じて割合が決まります。

寄与分が認められる典型的なケース

類型内容具体例
療養看護型無償・献身的に介護を行った自宅で長年付き添い、排泄や食事介助も行った
事業従事型被相続人の事業を支え、収益の維持・増加に貢献した商店や農業などの家業を、無報酬または格安で支援した
金銭援助型被相続人の借金返済や生活費を援助した借金を肩代わり、毎月仕送りなどを行った
財産管理型財産の維持・管理を実質的に行っていた賃貸物件の管理や修繕、資産の収支管理などを行った

⚠️寄与分をめぐる遺産分割協議はなぜ難航するのか?

寄与分(きよぶん)の主張が生じると、多くの場合、遺産分割は停滞します。主な理由は、①主張が感情的になりやすいこと、②寄与の有無・程度・金額の評価が難しいこと、③客観的な証拠が乏しいこと、の三点です。前に進めるには、いつ・誰が・何を・どの程度行ったかを時系列で整理し、通帳・領収書・介護記録・写真・日記などの証拠を収集し、相場に基づく試算をし相続人間で共有します。もっとも、いくら証拠が揃っていても共同相続人だけでの解決は困難なことが多く、行き詰まる場合は家庭裁判所の調停・審判での解決を図るのが現実的です。

遺産分割協議(いさんぶんかつきょうぎ)

相続人全員で遺産の分け方を話し合い、具体的な分配内容を決定する手続きです。遺言がない場合や、遺言で分け方が定められていない財産について行われます。

① 主張が感情的になりやすいこと

寄与分(きよぶん)の主張は、当事者の生活や時間、労力に直結するため感情的になりやすいです。主張する側は「自分だけが苦労した」と感じ、他の相続人の理解が得られないと強い不満を抱きます。一方、他の相続人は「それは当然の範囲だった」「自分たちも可能な限り支援していた」と受け止め、反発しがちです。結果として議論が事実認定から離れやすいため、感情と事実を切り分けて検討する姿勢が重要です。

② 寄与の有無・程度・金額の評価が難しいこと

寄与分(きよぶん)は、貢献の有無・程度・金額をどう評価するかが最大の難所です。どれだけ・どの期間・どの密度で貢献したのか、財産の維持・増加との因果関係、すでに給与や謝礼で対価済みではないか等を、通帳・介護記録・勤務実績などの資料で裏づける必要があります。さらに評価方法も、市場賃金相当・機会費用・増加額法など複数あり、前提が少し変わるだけで結論が動きます。そのため、当事者間で「適正な寄与分額」について合意しにくいのです。

③ 客観的な証拠が乏しいこと

介護や援助の日時・内容・費用負担の記録がないと、「言った/言わない」「やった/やっていない」の水掛け論に陥り、協議は停滞しがちです。家庭裁判所の調停・審判に備えては、通帳・領収書・介護記録・写真・日記等、後から収集できる資料を早期に整理・提出することが前進のカギになります。

🤝相続人でない人が支えた場合は? ─ 特別寄与料制度

寄与分(きよぶん)は相続人どうしの調整に限られるため、たとえ被相続人の嫁・婿・長男の妻などが長年尽くしても、寄与分は認められません。 この不公平を緩和するため、2019年民法改正で特別寄与料制度(民法1050条)が導入されました。相続人でない親族でも、次の条件を満たせば相続人に対して金銭の支払いを請求できます。

特別寄与料が認められる要件

請求できる人(権利者)

相続人ではない親族(例:配偶者の父母を介護した長男の妻など)

要件のイメージ

無償で、継続的・相当程度の療養看護をし、財産の維持・増加に貢献したこと

請求相手・負担の仕方

相続人全員に請求します。負担は各相続人の相続分に応じた按分とするのが一般的です。

金額の決まり方

相続人との協議で金額を決めます。まとまらなければ家庭裁判所に申し立て、調停や審判で額を定めます。 算定の目安:介護・看護の内容と密度、期間、代替サービスの市場単価、財産の維持・増加への寄与度など。

手続きの流れ(概要)

事実の整理(時系列・寄与内容・期間・頻度・負担者) 証拠収集(通帳・領収書・介護記録・診療明細 等)

相続人との協議 → 不調なら家庭裁判所で調停・審判へ ※ 相続開始後の早期請求が重要です(時効期間が短いため、早めの着手を推奨)。

具体例

特別の寄与料は、嫁や婿が長年にわたり被相続人を介護した場合などに「その努力を報いる法的手段」として活用されます。 ただし、寄与分と違って遺産分割の中で配分するのではなく、相続人に対して金銭を請求する形式である点に注意が必要です。 相続開始後6か月以内に請求すること。(時効に注意)

💡コラム:相続は制度や法律だけでなく、人と人との関係性や思いやりが大きく影響する

相続における人の姿

相続では、人それぞれの考え方が表れます。自らの取り分を譲る謙虚な人もいれば、少しでも多くの取得分を求める人もいます。家族内の不和を避けたいと考え、相続放棄を選ぶ人もいます。こうした多様な考えのもと、円満に終わる家族もあれば、意見の対立から関係が崩壊してしまう家族もあります。争いが深刻化すれば、最終的に全員が疲弊してしまいます。

寄与分・特別寄与料の意味

寄与分や特別寄与料は、家族の中で特に尽力した人が、その努力を正当に評価されるための制度です。努力が報われる仕組み自体は意義深いものといえます。しかし、真に円満な解決を目指すのであれば、必ずしも法律だけが解決の手段ではありません。

権利主張と相互理解

寄与分や特別寄与料を主張する背景には、「自分の取得分を増やしたい」という思いがあります。これに他の相続人が納得すれば問題は生じませんが、納得できない場合には泥沼の争いにつながることもあります。 一方で、貢献が少なかった相続人が謙虚に振る舞い、貢献度の高い相続人の取得分を多くすることを提案する場合もあります。そして、その提案を受けた相続人が「自分の分が多くならなくてもよい」と応じることもあります。こうしたやり取りによって穏やかに合意に至る例も少なくありません。

まとめ

権利を主張することは当然の行為ですが、それ以上に本人や家族にとってより良い方法が存在することもあります。相続は制度や法律だけでなく、人と人との関係性や思いやりが大きく影響するのです。

 

💡コラム:寄与分と特別寄与料の期間制限の違いについて

寄寄に関する制度には、「寄与分」と「特別寄与料」の2種類がありますが、これらには期間制限の有無という重要な違いがあります。

まず、「特別寄与料」(民法第1050条)には、時効と除斥期間の定めがあるため、請求には注意が必要です。

具体的には、特別寄与者(たとえば長男の妻など相続人以外の親族)は、相続の開始および相続人を知った時から6か月以内に、かつ相続開始から1年以内に、家庭裁判所に対して調停または審判の申立てをしなければなりません。

これを過ぎると、たとえどれほど貢献していても請求は認められません(時効または除斥期間のため)。 このような期間制限があるのは、相続人に対する金銭請求という独立した債権性を持つ制度であり、相続人の法的地位や財産処理を早期に安定させる必要があるためです。

一方、「寄与分」(民法第904条の2)は、相続人同士の間での遺産分割の調整のための制度であり、遺産分割協議の過程で主張されるため、特別な時効や除斥期間の定めは設けられていません。 ただし、2023年の民法改正により、相続開始から10年が経過すると、特別受益や寄与分そのものの請求ができなくなります。

 

このページのポイント

  1. 寄与分(きよぶん)とは、相続人の中で特に被相続人に貢献した人が、その貢献を考慮して相続分を増やせる制度です。
  2. 相続では、寄与分を主張する相続人が現れると、協議が難航することが少なくありません。
  3. 特別寄与料とは、相続人でない親族が被相続人を介護・看護などで特別に貢献した場合、金銭で評価される制度です。

新井 秀之

行政書士/認定経営革新等支援機関/東京出入国在留管理局申請取次者/神奈川県行政書士会横浜中央支部相談員/コスモス成年後見サポートセンター相談委員

行政書士新井秀之
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相続/遺言/遺言執行/成年後見/終活
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メッセージ
はじめまして。行政書士の新井秀之です。
1965年に横浜市神奈川区で生まれ、東芝、リクルートでの企業勤務を経て、行政書士として独立いたしました。以来、「人生の最終章を支える」という使命を胸に、相続、遺言、成年後見、そして死後の諸手続きといった業務を中心に、数多くのご相談と向き合ってまいりました。...続きを読む
免責事項:
この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な手続きや判断については、必ず専門家にご相談ください。法改正や自治体の運用により情報が異なる場合がありますのでご注意ください。
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