
失踪宣告(しっこうせんこく)とは、民法に定められた制度で、行方不明者が長期間戻らず、生死が不明な場合に、法律上「死亡したもの」とみなして、相続や婚姻などの法律関係を処理できるようにするものです。
たとえば、登山中に遭難し、長期間にわたり発見されず、遺体も確認できないような場合には、死亡がほぼ確実であっても、死亡の事実を証明できないため、失踪宣告の申し立てを検討することになります。(遺体が発見されなければ死亡診断書を取得できないため、死亡届を提出することができないからです。)
- 🔍失踪宣告には「普通失踪」と「危難失踪」の2種類がある
- ⚖️失踪宣告の効果
- 📋失踪宣告の手続きの流れ
- 🔄失踪者がその後生存していたことが判明した場合
- 📁家庭裁判所に提出する証明書類の準備
- 🏛️類似制度:認定死亡とは
- 失踪宣告には「普通失踪」と「危難失踪」の2種類があり、行方不明になった状況によって使い分けられます。
- 失踪宣告が認められると法律上「死亡したもの」とみなされ、相続や婚姻関係などの法的手続きを進めることができるようになります。
- 申立ては家庭裁判所に対して行い、一定の手続きの流れを踏む必要があります。
- その後失踪者の生存が判明した場合には、失踪宣告が取り消されます。
- 申立てに際しては、失踪の状況に応じた証明資料を整えることが重要です。
🔍失踪宣告には「普通失踪」と「危難失踪」の2種類がある
失踪宣告には、「普通失踪」と「危難失踪」の2種類があり、行方不明になった状況や期間に応じて使い分けられます。次に、それぞれの違いと特徴について説明します。
| 種類 | 内容と要件 |
|---|---|
| 普通失踪 | 生死不明の状態が7年間継続している場合。(民法第30条1項) |
| 危難失踪(特別失踪) | 戦争・船の沈没・災害など危難に遭遇して以後、生死不明な場合。1年で宣告可(民法第30条2項、31条) |

⚖️失踪宣告の効果
失踪宣告が家庭裁判所によりなされると、その行方不明者(被失踪者)は、法律上「死亡したもの」とみなされます。(死亡と同様に扱う)

📋失踪宣告の手続きの流れ(普通失踪の場合)
失踪宣告は、家庭裁判所に申立てを行い、審理を経て審判により行われます。ここでは、普通失踪の場合の手続きの流れをフローチャートでご紹介します。
- 家庭裁判所に失踪宣告申立て
- 失踪宣告を申し立てることができるのは、配偶者や相続人などの「利害関係人」です。申立ては、失踪者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。
相続人(そうぞくにん)
被相続人の死亡によって、その財産を承継する権利を持つ人をいいます。民法で順位や範囲が定められており、配偶者は常に相続人となり、他は子や親、兄弟姉妹などが続きます。
- 家庭裁判所調査官による調査
- 申立てを受けた家庭裁判所は、調査官を通じて、失踪の事実や状況、申立ての妥当性について調査を行います。必要に応じて関係者への聞き取りや資料の確認が行われます。
- 官報による公告(3か月以上)
- 家庭裁判所は、失踪者に対して一定の期間内に生存の届出をするよう求める旨の公告を官報に掲載します。この公告期間(通常3か月以上)に失踪者が現れなければ、失踪宣告の審判に進みます。
- 失踪宣告の審判を下す
- 官報で定められた期間内に失踪者から生存の届出がなかった場合、家庭裁判所は失踪宣告の審判を行い、失踪者を法律上「死亡したもの」とみなします。
- 審判書謄本と確定証明書を取得し、市区町村役場へ失踪の届出
- 家庭裁判所の審判が確定したら、「審判書の謄本」と「確定証明書」を受け取り、それを使って市区町村役場に失踪の届出を行います。これにより、戸籍上でも死亡として記載されます。
- 戸籍に失踪宣告が記載される
- 市区町村役場で届出が受理されると、戸籍に「死亡とみなされる日」「失踪宣告の裁判確定日」として記載されます。
- 法律上「死亡」とみなされる(死亡日=失踪期間満了日)
- 失踪宣告が確定すると、法律上その人は死亡したとみなされます。死亡とみなされる日は、行方不明になってから7年を経過した日(=失踪期間の満了日)とされます。

🔄失踪者がその後生存していたことが判明した場合
失踪者がその後に生存していたことが判明した場合、失踪宣告は取り消されます(民法第32条)。ただし、相続財産などについては、すでに行われた処分は原則として有効とされます(第三者保護の観点からです)。
わかりやすく言えば、一度失踪宣告を受けた人があとになって生きていたことが分かった場合、その宣告は取り消されます。このとき、失踪宣告によって財産を相続した人は、本来の持ち主に財産を返す必要があります。ただし、すでに生活費として使ってしまった分など、返還が難しい場合には、すべてを返さなくてもよいとされることがあります。
📁家庭裁判所に提出する証明書類の準備
失踪宣告を受けるためには、家庭裁判所が「死亡の蓋然性が高い」と判断できるだけの資料を提出する必要があります。そのため、失踪の状況に応じた証明書類を準備することが重要です。
【普通失踪】(7年間以上、行方不明の場合)
主な証明書類の例:
- 警察への行方不明届の提出記録
- 捜索願の受理証明書
- 失踪前後の手紙・日記などの写し
- 失踪を証明する第三者の陳述書(近隣住民・知人など)
- 郵便が届かず返送された封筒(消印や返送理由のスタンプがあるもの)
【危難失踪】(災害・事故などで死亡の危険に遭遇し、行方不明となった場合)
主な証明書類の例:
- 警察や消防による遭難報告書
- 新聞記事や自治体による発表資料
- 関係機関の捜索記録
- 所在不明を証明する第三者の陳述書(同行者・関係者など)
- 失踪の状況に応じて、適切な資料を準備し、裁判所に提出することで、申立ての説得力が高まります。
- 失踪宣告には「普通失踪」と「危難失踪」の2種類があり、行方不明になった状況によって使い分けられます。
- 失踪宣告が認められると法律上「死亡したもの」とみなされ、相続や婚姻関係などの法的手続きを進めることができるようになります。
- 申立ては家庭裁判所に対して行い、一定の手続きの流れを踏む必要があります。
- その後失踪者の生存が判明した場合には、失踪宣告が取り消されます。
- 申立てに際しては、失踪の状況に応じた証明資料を整えることが重要です。
新井 秀之
行政書士/認定経営革新等支援機関/東京出入国在留管理局申請取次者/神奈川県行政書士会横浜中央支部相談員/コスモス成年後見サポートセンター相談委員

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- 相鉄線 天王町駅 北口より徒歩10分
- 対応業務:
- 相続/遺言/遺言執行/成年後見/終活
この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な手続きや判断については、必ず専門家にご相談ください。法改正や自治体の運用により情報が異なる場合がありますのでご注意ください。







1965年に横浜市神奈川区で生まれ、東芝、リクルートでの企業勤務を経て、行政書士として独立いたしました。以来、「人生の最終章を支える」という使命を胸に、相続、遺言、成年後見、そして死後の諸手続きといった業務を中心に、数多くのご相談と向き合ってまいりました。...続きを読む