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法定相続分と指定相続分|法律が定める割合と本人が指定する割合

2025.06.30

 
民法は、被相続人(亡くなった人)の意思を原則として尊重する相続分の仕組みを規定しています。被相続人が遺言等で各相続人の取り分を定めた場合は、その指定相続分が優先されます。これに対し、意思表示がない、または一部にとどまる場合には、民法の法定相続分が適用されます。本記事では、両者の趣旨と適用の順序を簡潔に整理し、あわせて法定相続分における親族構成別の取得割合例を示します。

目次
  1. ✍️指定相続分|遺言で「誰に・何を・どれだけ」取得させるかを指定
  2. ⚖️法定相続分|民法が定める相続分
    1. 相続人の組み合わせとその相続分
    2. 配偶者と血族相続人(子)の場合
    3. 配偶者と血族相続人(子2人)の場合
    4. 配偶者と血族相続人(両親)の場合
    5. 配偶者と血族相続人(兄弟姉妹2人)の場合
    6. 配偶者なし、血族相続人(子2人)の場合
    7. 配偶者なし、血族相続人(兄弟姉妹2人)の場合
  • 💡コラム:法定相続分は絶対ではない。
このページのポイント

  1. 遺言書を作成すれば、相続人ごとの取り分(指定相続分)を自由に決めることができます。
  2. 遺留分を侵害する遺言も有効ですが、侵害された相続人は金銭を請求できる権利が認められます。
  3. 民法では、相続人の構成に応じて各相続人の相続割合が定められており、これを法定相続分といいます。

✍️指定相続分|遺言で「誰に・何を・どれだけ」取得させるかを指定

遺言書を作成すれば、「誰に・何を・どれだけ」取得させるかを、自分の意思で決めることができます(民法第902条)。これを指定相続分といいます。たとえば、子が2人いて法定相続分が2分の1ずつでも、「長男に全財産を相続させる」と記せば、長男だけに相続させることも可能です。

また、遺言では相続人以外の第三者に遺贈することもできます。ただし、遺留分と呼ばれる、一定の相続人に保障された最低限の取り分を侵害してしまうこともあります。

重要なのは、遺留分を侵害した遺言でも遺言の内容自体は有効であるという点です。遺言は有効だが、侵害された相続人には遺留分侵害額請求権が認められ、この権利を使えば、侵害された分を金銭で請求できます。

もっとも、この請求を行うかどうかは相続人の自由です。遺言者の意思を尊重して請求しない選択もあれば、権利を行使して金銭を受け取る選択もあります。

遺贈(いぞう)

遺言により、被相続人が自身の財産を相続人または第三者に無償で譲り渡すことを指します。

⚖️法定相続分|民法が定める相続分

民法では、遺産を分ける際の目安となる割合、または基準となる割合を定めており、これを法定相続分といいます。(民法第900条)遺言がない場合などに参考として用いられます。また、法定相続分は単に遺産分割の際の目安となるだけでなく、相続税の計算(基礎控除の配分や課税額の算定)など、さまざまな相続手続きにおいても活用されています。

なお、遺産分割にあたっては各相続人の年齢、職業、健康状態、遺産の種類や性質などを考慮することとされており(民法第906条)、法定相続分はあくまでも分割の目安であって、必ずしもその割合で分けなければいけないということではありません。

遺産分割(いさんぶんかつ)

被相続人が残した財産を、相続人が分け合う手続きです。

相続人の組み合わせとその相続分

相続人の組み合わせ配偶者の相続分その他の相続人の相続分
配偶者と子1/2子が1/2(子が複数いる場合は等分割)
配偶者と直系尊属(親など)2/3直系尊属が1/3(親が両方いる場合は等分割)
配偶者と兄弟姉妹3/4兄弟姉妹が1/4(複数人なら等分割)
子のみなし子が全財産を取得
兄弟姉妹のみなし兄弟姉妹が全財産を取得(片親違いの兄弟姉妹は半分)

配偶者と血族相続人(子)の場合

配偶者1/2、子1/2
A 1/2
B 1/2

配偶者と血族相続人(子2人)の場合

配偶者1/2、子1/2
A 1/2
B 1/4
C 1/4

配偶者と血族相続人(両親)の場合

配偶者2/3 親1/3
A 2/3
D 1/6
E 1/6

配偶者と血族相続人(兄弟姉妹2人)の場合

配偶者3/4 兄弟姉妹1/4
A 3/4
F 1/8
G 1/8

配偶者なし、血族相続人(子2人)の場合

子 すべて
B 1/2
C 1/2

配偶者なし、血族相続人(兄弟姉妹2人)の場合

兄弟姉妹 すべて
F 1/2
G 1/2
💡コラム:法定相続分は絶対ではない。

民法第900条では、複数の相続人がいる場合に、その構成に応じて各人が取得する割合(法定相続分)を定めています。これは、遺産分割の目安として法律で定められたものであり、遺産分割の出発点になります。

一方、民法第906条では、遺産分け方の考え方について示しています。

民法第906条(条文)
遺産の分割は、各共同相続人の年齢、職業、心身の状態、生活の状況その他一切の事情を考慮して、各共同相続人の間における実質的な公平に配慮して、これをする。

民法906条をやさしく解説します。この条文は、「遺産をどう分けるかを決めるときは、法定相続分に機械的に従うのではなく、それぞれの相続人の状況をよく考えて、公平になるように分けましょう」という意味です。

【公平を考える上での考慮例】
民法第906条で考慮される事情には、次のようなものがあります:
・高齢で働けない相続人がいる
・病気や障がいにより生活が困難な相続人がいる
・介護をした相続人と、しなかった相続人がいる
・多額の生前贈与を受けている相続人がいる
・相続財産の中に分割しづらい不動産が含まれている

このような「一切の事情」に応じて、各相続人の間の実質的なバランス=公平を図ることが、民法第906条の目的です。

【900条と906条の関係】
民法第900条は、「平等(形式的)」を基本としたルールです。
民法第906条は、「公平(実質的)」に基づいて柔軟な調整を認めるルールです。
つまり、相続分の割合(900条)はあくまで出発点であり、実際の遺産分割では、相続人全体の状況(906条)を踏まえて公平な分割を目指すべきだと考えられています。

【まとめ】
民法第906条制定の目的は、相続人それぞれが自分の権利だけを主張するのではなく、相続人全体の調和と幸福を大切にしながら、事情に応じて公平に遺産を分けることにあります。

 

このページのポイント
  1. 遺言書を作成すれば、相続人ごとの取り分(指定相続分)を自由に決めることができます。
  2. 遺留分を侵害する遺言も有効ですが、侵害された相続人は金銭を請求できる権利認められます。
  3. 民法では、相続人の構成に応じて各相続人の相続割合が定められており、これを法定相続分といいます。

新井 秀之

行政書士/認定経営革新等支援機関/東京出入国在留管理局申請取次者/神奈川県行政書士会横浜中央支部相談員/コスモス成年後見サポートセンター相談委員

行政書士新井秀之
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メッセージ
はじめまして。行政書士の新井秀之です。
1965年に横浜市神奈川区で生まれ、東芝、リクルートでの企業勤務を経て、行政書士として独立いたしました。以来、「人生の最終章を支える」という使命を胸に、相続、遺言、成年後見、そして死後の諸手続きといった業務を中心に、数多くのご相談と向き合ってまいりました。...続きを読む
免責事項:
この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。具体的な手続きや判断については、必ず専門家にご相談ください。法改正や自治体の運用により情報が異なる場合がありますのでご注意ください。
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